「10年ひと昔」という言葉がありますが、中国だと「5年ひと昔」という感じがしています。変化のスピードが段違いに早くてついていけません。

前回「キャッシュレス社会の中国って何処まで財布が要らないの?」で中国の電子マネーの浸透をご紹介したのですが、電子マネー以外で爆発的に日本を周回遅れにしている部分があります。

その動きを見ているとキーポイントは「人員整理」「主導権を握るための競争」が大きく影響しているように感じています。

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ロボットや自動認識技術など活用した人員整理が顕著

「人員整理」は日本でも起きていると思いますが、ロボットを使った人員整理や仕事の分散による作業効率化が顕著です。

13億人いるのに人材整理?と思いたくなりますが、人数が多い=国民全員が労働力ではない訳で、無駄な部分はどんどん排除しているのが今の中国。先にある高齢化社会を見据えた動きかも知れません。

まず中国人は自分の身分を証明する「身分証」を所持しています。列車や飛行機の国内線、ホテル宿泊では、スタッフは「身分証」とチケットを確認。

以前の身分証はカードに本人写真と現住所、15桁から18桁の数字の羅列が個人情報として記載していたのですが、新しい身分証にはICチップが内蔵され、個人情報はカード表示以外にICチップ内にも保存されています。

この「新しい身分証」に更新されてから、劇的に効率化が上がったのが列車の窓口業務です。

チケット窓口の発券作業は元々すべて手作業による作業が中心。窓口業務スタッフは行き先、購入枚数、購入者の名前、身分番号を入力して発券。

現在は各窓口にICリーダーが設置され、身分証を置くとICタグ内部の情報が読み取られ、今まで面倒だった窓口スタッフの氏名と身分証の入力が省略化。

また窓口以外にも発券機が常設され、身分証を置いて行き先情報を入力すれば発券。

窓口や発券機以外ではネットを通じて事前購入した場合、窓口には並ばず発券機で身分証を置くだけで発券されます。※外国人は非対応のため窓口に並ぶ必要があります。

15から18桁ある数値入力。幾ら窓口スタッフが早く入力できても数秒は時間が必要ですし、ヒューマンエラーで入力ミスも生まれます。ICタグに変更されて、このような手作業の業務は激減しています。

同様に市内の各エリアにある派出所。日本の市役所のような住民登録などの役割があるのですが、ここでも身分証をベースに事務処理の手作業が簡略化。

外国人である私も臨時在住証明を取得するのに訪問するのですが、日本でお馴染みの「手書きによる申請資料の準備」は一切不要です。

基本的に派出所のスタッフがパソコン操作で必要な資料を発行し、日本的な「資料に記入」は一切やったことがありません。

日本の市役所では手書きでの申請が一般的。入力された申請書は市役所スタッフが目視で記入情報を確認。不明点は上司に報告相談。間違いの確認が無ければスタンプを押して完了。

ただこの申請資料って後で「誰かが」データ入力していると思います。申請者が手書き、窓口が目視とペンでチェック、そのあと誰かがキーパンチ。すごい非効率な作業です。窓口業務にかかるコストって幾らなんだろう。

法律の変更も多々発生するのかシステム化で柔軟性が失われる位なら、手書き申請を元にした目視チェックの方が、もしかするとシステム開発に費用を注ぐより、人件費のほうが安く済むのかも知れません。

何れにしても中国の「身分証」と日本の「マイナンバー」の活用には、まだまだ大きな開きがあるように感じます。

中国では「身分証」以外にも、「カメラを使った顔認識技術」による人物特定の分析システムなど、人の目、人の手を使っていた作業を「自動認識技術」と呼ばれる、人の手を介せずに行うIT技術とうまく融合して効率化をしています。正直、中国はこの辺は「やるぞ」と決まると社会主義だけあって早く物事が進みます。

窓口など担当に仕事が集中してボトルネックとなる作業は、極力ITの技術や購入する人民にちょっとだけ入力作業を負荷分散して、公務員の「人員整理」の効率化を進めているのが特徴的に思えます。

テンセントとアリババの「主導権を握るための競争」

このサイトでもよく取り上げている電子マネーサービス。メジャー電子マネーと言えば「WeChatPay」と「Alipay」ですが、このサービス元の親会社といえば「テンセント」と「アリババ」。

この二強の主導権争いによるサービス競争による発展です。必ず店舗には二社のQRコードがあるのが最近の中国の特徴です。

直近で「やるー」と感じたのが、アリババが開始した高速道路サービス。

日本では高速道路は現金やクレジット、ETCが主な決済と思いますが、中国ではもう一歩先の電子マネー決済が開始。

現金の代わりにQRコード決済はまだ序の口で、高速道路のゲートに設置されたカメラが、自動車ナンバープレートを認識し、
ナンバープレートの文字を読み取ります。

運転手は事前に「Alipay」とナンバープレート情報を紐づけておき、カメラがナンバープレートを読み取ると「Alipay」で決済完了。決済が終了するとゲートが開いて通過できます。

利用者はETC装置の設置が要らず便利な機能。遅れないよう同様のサービスを「WeChat Pay」でも開始しています。

「テンセント」と「アリババ」の主導権争いは顕著。特徴の一つとして提供されるサービスの便利さは当たり前ですが、電子マネーに直結するIT技術のサービス提供が数多く展開。

どうやって電子マネーの流れを自社に呼び込み、市民の支持を得るか。そのための先行投資は積極的に行われ、「シェアバイク」や「テイクアウトサービス」、高速道路の決済機能など電子マネーを中心とするITサービスが中国全土に広がっているのです。
アリババ系のテイクアウトサービス

また「京东(jīng dōng)」と呼ばれる「テンセント系ECサイト」は、自社倉庫で管理している品を「Amazonプライム」のような、当日配達や翌日の午前中の配達などのサービスも開始。※エリアは上海周辺など限定的な取り組みです。

物流倉庫内部ではフォークリフトの運搬業務やラベル貼り付け作業などは機械を使った自動化が行われ、庫内の無人化による効率化とスピードアップが、日本のように活発に進んでいます。

この辺の「先行投資して勝負に打って出る」という点は、中国企業の方がイケイケドンドンな感じがしてしまいます。やはり景気がいいのは日本より中国なんでしょうね。

中国では一歩でも相手に差をつけようと、サービス合戦が繰り広げられているのが、今の中国の特徴で面白い点のように感じます。