訪日した中国人へのビジネス拡大、トラブル収束のための中国人への対応、中国という市場へチャレンジをしたい企業など、その企業の本気度にもよるのですが進め方に見直しの必要があるのかも知れません。

国慶節の休暇期間は中国では休暇であったものの日本は普通に営業日。そのため日本の帰国に合わせて対海外向けのビジネスをされている方にお会いするチャンスがありました。

今回は話の内容が非常に参考になり、私も同意できる点だったので、ご紹介したいと思います。

実際にお会いして聞けた日本のセミナー事情

お会いしたJさんは欧米やアメリカ向けを中心にご商売をされていて、過去に別のビジネスで中国とお取引をされている方でした。今回中国でのビジネスを行うにあたって、私たちにご相談があり顔を合わせての打ち合わせとなりました。

打ち合わせ後の雑談の中でJさんから聞いた話の一つに、ある都市で年々増え続ける中国人観光客を取り込もう、そして中国を活用して日本のビジネスを成功させよう。

中国人を知って中国人に売り込もうというセミナーを主催される方や団体が多いそうで、セミナーと別口で実際に中国訪問ツアーを企画して現地を知ろうという取り組みもあるそうです。

個人的には良い取り組みと思うのですが、どうもセミナーによっては話題の内容が「頂けない」事があるそうです。

セミナーでは日本の人口と中国の人口比率からも、中国人の数の多さから考えても中国は市場規模が大きく魅力的、OEM工場として魅力的な中国を活用しよう等の切り口から中国を紹介しているそうです。

しかしJさんからすると、セミナーで語られる言葉が日本のニュースで目にする、耳にするような一般的な話題構成らしく、それほど深みの無い話題が多いそうで、それを真に受けたセミナー受講者は、売れるぞ!行けるぞ!と気持ちを高ぶらせるそうです。

セミナーという限られた期間のため一般的な話になるのでは?と思って聞いたのですが、その後個別で話をしても、微妙なことも多いそうです。

もちろんセミナー主催者も商売なので、どうやってセミナー参加者を取り込んで、自分に関係のある商売に繋げるかが重要。それに間違えた事実を伝えていないのであれば問題がありません。

個人的には中国を知ってもらい対策を考える事は大切なのですが、セミナー講師が話す話題が全て「中国」という国に当てはまるのか?という点は、セミナー受講者は考えておく必要があると思います。

また講師がどの程度、中国と接点があったのか、どんな目線から情報を提供してくれているのか、非常に大切な事の一つだと思っています。

中国で起業をされた方の話は、非常に深みがあり、立ち上げるまでの経緯やその中で経験した事など参考になることが多いと思います。

失礼に聞こえるかも知れませんが、普通に駐在をしている日本人以上に経験できない事を経験している可能性も高く、独立して起業された方の話は含蓄もあり、さすがだなと思う話題も非常に多いです。

駐在員の方でも中国歴や、中国との繋がり、役職などの立場によって中国人との付き合いの幅が広く、得られている経験値が高い方の話は、自分の業界と違っていても参考になることが多いです。

ワイドショーで観た中国情報の偏った伝え方

帰国時にお昼のワイドショーで中国人旅行客の日本での珍事を中心に紹介している番組を観ましたが、「中国人はこうです」と言い切る評論家は、視聴者に解りやすくするためにはシンプルにせざるを得ないのでしょうが、シンプルに説明しすぎる事で間違った認識を植え付けかねないなーと思いながら、観ていました。

よく「中国人」とは、と説明をされる場合に「訳があって(その後の話の展開を踏まえて)中国人」と一括りにして説明をしているのか、「意味もなく中国人」と一括りにして説明をしているのかで、その解説者の中国に対しての理解度が違うように思っています。

例えば日本の仕事では一切中国と関わりがなく、中国北京に三年ほど駐在をして、日本へ帰国後に中国とは!と上海とは!と説明している記事や解説を見ると、その情報の出処って本当に正しいのか?北京駐在でどのくらい上海と関わりがあったのか?ネタ元は第三者からの提供か?ネタ元の中国人とどのくらいの関係性なのか?

提供元は自分が中国で裏取りをしているのか?実体験を元にした話なのか?通訳を経由して聞いた話なのか?自分自身が地元民に直接聞いた内容なのだろうか?と思いながら記事を推測して読むと、その方が発信している情報が信頼できる話なのか判断ができるようになります。

どうしても「業界のプロ」や「有名企業などのネームバリュー」を植え付けられた後に、情報を目にすると真実のように感じてしまう点もありますが、場合によっては100%正しいという訳でない事もあるのでは無いでしょうか。

中国で失敗した!は本当に中国だけに責任があるのか

中国で失敗した、騙されたという話を私も耳にしますが、そもそもビジネスを行う上で選んだ相手が信頼できる相手だったのでしょうか?

そこはビジネスを行う前段階としてリサーチが必要ですし、信頼ができる人間が直ぐに見つかる可能性の低さや、中国の商習慣も知らず日本的な発想で「まー大丈夫だろう」と安易に進めるから発生する問題もあり、騙されたうんぬんの前にまず自分自身の判断基準や事前準備を怠っている点も多いのでは無いでしょうか。

たまに関わる日系企業で、中国語を話せない。中国や他の海外に赴任経験なし。今まで一切中国と関わりない。日本で販売している中国に関する書籍を読んだ事もない等、無い無い尽くしで訪中して、「会社の指示に従って赴任したんです」のオーラーをまとって、前向きに中国で取り組もうという熱意が無い方の場合は、できる限りフェイドアウトして関わらないようにしています。

関わらない理由はお分かりと思いますが、このような方の場合は危険というか、中国に関わらず成功しない可能性が高いと思うからです。

訪れて経験する。大切だが全てを知るとは違うという点

ただJさんの話にもあったように、セミナーに参加する、現地へ訪問してみることは、その国を知る上では大切なキッカケなのですが、日本のニュース報道を100%と信じ込み情報通のようにしていると、自分が知っている情報が実は間違えているという事も十分に起きうることです。

現地に訪問しないより、訪問した方が知り得る情報は多いです。しかし数日間の添乗員付きのホテル宿泊で経験できる事と、現地で自宅を借りて生活しての経験は、全く違います。

行動を起こさないより、行動を起こす方が大切です。知った情報を元に自分で体験して正しいか検証を行う。

そして自分に説明している相手を見定めるためには、相手が中国とどんな関わりを持っているのか、中国と付き合っているのか、を判断基準に入れることも大切です。

何でもかんでも真に受けるのではなく、ほんの少しだけ客観的な目線を持つことも大切。正直、自分自身にも言い聞かせている点ですが、真実は現場にあるものです。

中国に長く住んでいるので中国寄りと思われがちです。また中国や中国人に肩を持っている訳ではないのですが、中国人に売り込みたい、中国人に使わせたいというビジネスを進めるのに、日本人の中には一切中国人の生の意見を取り入れない、私たち日本人の意見は正しく、日本的に忠実に進めれば中国人にも受け入れられ成功するだろうという発想が意外と幅を利かせている事もあります。

そんな時は「中国人の意見を聞かないでどうして中国人に受け入れられると思うんですか?」と質問すると、回答できない日本人もいらっしゃいます。

そんな失礼な質問をされると思っていなかった、中国人の意見なんて取り言れる必要はないと思っていた、日本人が使いやすければ中国人も使いやすいと思っていた、そもそもそんな発想がなかった等なのかも知れませんが、非常に勝手な思い込みだなぁと思ってしまう点です。

中国人からの売上をアップしたい、中国市場で成功したい。本当にそう思っているのであれば、頭に隅に知っておいて欲しいといつも思っている点でした。