自宅の近所で車いすを押しながら散歩などをしている方達を見かけます。
見たところご夫婦やご家族の方がお世話をしているようです。

中国でも日本のように介護問題が徐々に表面化してきています。
先だって一人っ子政策の規制が廃止された背景の一つとして、
迫る今後の高齢化を見越し出産率を増やすことも一因と見ています。

また一人っ子政策の弊害として、二人目を出産することが出来なかった家族で、
両親である自分たちより、唯一である一人の子供が不慮の事故などで先に亡くなった。
そんな環境に置かれた親が今後の将来(介護など)を悲観して、
同じような境遇の人たちが政府を訴えるなどの話もあります。
複雑な一人っ子政策の第二子出産条件を紹介兄弟【兄弟】

我が家の近くにも老人ホームなどがあるのですが、
パッと見、日本に比べると垢抜けてなく開放的な感じはしていません。
中国にもあるお年寄りの集う場所。老人ホーム【敬老院/养老院】

そんな中国の高齢化社会を一つのビジネスチャンスとして、
中国に進出している日系企業も増えてきているようです。

ただ中国進出には障害があるように感じています。
それは中国で起業する際に、営業範囲というのが定められていて、
介護ビジネスを何処まで行うかによるのですが、
医療行為という範囲に及ぶと外資ということもあり営業許可が取りにくく、
そのため参入の障害になっているのは明白です。

中国にある日系の医療機関が「クリニック」という表現になっているのも、
この辺が影響しているからだと思われます。

そんな外資が参入し難い中国介護ビジネスは今からという感じがしています。
その理由として中国人の生活環境、家族に関する考えが影響しているため。
・日本と違い基本的に転勤はなく、親と同じ地元で生活、または同居している場合が多い。
上海、北京、深センなどで仕事のために地元から出てきている場合は除きます。
・自分の親は子供が見る、という考えが日本以上に根強い点
・他人に介護を任せて安全なのか?という不信感がある点

また参入できたとしても、中国の政府側との強いコネクションが無いと、
建物を安心して(長期的に)借りられない・建築できない等、
日本では起き得ない中国独自の面倒な問題がありますし、
また運営管理側に日本人の介護師や管理スタッフが必要だと思いますが、
介護の業界の人で中国語が話せる日本人がどの位いるのか?
また逆に中国人介護師側に日本語が話せるスタッフがいるのか?

専門知識+外国語というレアな状況が生まれることで、
非常に人材が少なくなり人材選びも難しいように感じます。
この辺は英語のほうが人材選びがスムーズなように思えます。

中華系のパートナーを選んだとしても同じ部分の問題がありますし、
介護は力仕事も多い仕事でしょうから中国人スタッフが、
他人の老人に対して何処まで介護の仕事に取り組むのか、
日本式サービスを導入しようと考えても、カナリ日本との開きがあるように思えます。

ただしこれは日系サイドにも問題が。
国外で想定外な事が起きるというリスク管理の意識が低い点が多くあり、
国が異なる事での起きるカントリーリスクを、
意外と何も考えずにやってくる日系も多いように感じます。

パートナー任せで、知らない内に投資額を吸い上げられ、そのまま撤退。
介護する老人の事を考えると、そんなことだけは避けてもらえればと思っています。

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