前回「日本人には分からない転職を繰り返す中国人の心理とは。」をご紹介しましたが、関連しそうな事なのでご紹介。

中国人の中には「中国では転職しない中国人は能力が無く、自分を売り込めないからだ。」
という考え方があります。能力があれば誘いや引き抜きもありますし、
自分の能力を考えると好条件で転職が可能であるため。

中国では社会主義ではあるものの、
特に民間企業において年功序列という考えは薄いのです。

実際は能力が高くとも転職していないスタッフもいます。
その理由は、彼らは現在の会社で自分のポジションをしっかり確立している、
または自分のさじ加減一つで意思決定が可能なポジションだと、
転職後のポジションが不明確であるため、リスクが高いと判断を行い転職しないのです。

業務関係の場合は転職後よりも現状の方が何かと「役得」の可能性が高いので、
現職で一生懸命アレコレやっている方もいます。

今までの経験則と友人の中国人等を見ていると、会社に残るのは一部の優秀なスタッフで、
長期間働いているスタッフを見ていると、やはり能力が乏しい場合が多いように感じます。

年齢も若く現状の能力で高給が取れるならガンガン転職をするが、
ある程度、年齢をを重ねると「現状維持で満足です」という感じ。
決して現行の給与条件に満足している訳ではないように感じます。

もちろん性別も多少影響があるようで、
女性の場合は結婚して出産を経験し、子育ての時間を優先させたい場合は、
転職の検討は少なくなり、子育てのために融通が利かない職場や、
子供がある程度大きくなると転職を考えるようです。

裏を返すと長期間働いていた優秀なスタッフが退職する場合は非常に危険。
会社内部で何か問題が起きている、会社を見捨てた可能性が高いため。
危険信号が無いか、内部確認をする方がいいと思います。

「カネ金って考えが短絡的だな」と思う日本人もいるかと思います。
が、彼らに「会社に残ると良いことあるよ」と思わせられない日本人管理職も問題。
「中国人の彼らにも将来設計」がある訳ですから、会社の魅力が伝わらない場合は、
スタッフが去っていくのも仕方がない事。

「バラ色」とまでは言えないでしょうが、「残るといいよ」と思わせるのは、
管理職である日本人の役目が大きい所ですが、
中国人が口にするのは「数年で帰国し」、「中国事情に明るくない日本人」が、
「良いことあるよ」なんて考えつく訳がないと漏らす点。

実際、自分の身の回りのことが一杯一杯で、そんな事にまで頭がまわらないですし、
そんな環境作りをしても、面倒なだけという気持ちが先行すると、
環境作りが出来にくいのも仕方がない事です。

お互い本音があるのに、それを正直にぶつけ合い話し合うことが出来ない。
そして、しびれを切らして優秀なスタッフが逃げていく。

私は日本人ですが、中国歴が長く利害関係が無い中国人の友人も居ますので、
今回のような中国人から生の声を聞く機会がありますが、
一般的な日本人は生の声を聞く機会がありません。

この辺のお互いの想いが、上手くビジネスでマッチすると、
日系企業はまだ成長の余地があるのでは無いのでしょうか。